教育行政方針

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1.はじめに

  令和6年第1回深川市議会定例会の開会にあたり、令和6年度の教育行政の執行に関する方針について申し上げます。

 近年の新型コロナウイルス感染症の感染拡大やロシアによるウクライナ侵攻などは、平穏な日常が脅かされ、基本的な価値が揺らぐという事態をもたらし、教育基本法の前文にある「たゆまぬ努力によって築いてきた民主的で文化的な国家を更に発展させるとともに、世界の平和と人類の福祉の向上に貢献する」ことの重要性を再確認する契機となりました。
 
 このような状況の中で、令和5年度から令和9年度までの5年間における教育政策の目標などを定めた国の「教育振興基本計画」では、総括的な基本方針として「持続可能な社会の創り手の育成」及び「日本社会に根差したウェルビーイング(身体的・精神的・社会的に良い状態にあること)の向上」を掲げ、これらの相互循環的な実現に向けた取組が進められるよう教育政策を講じていくことが必要とされております。

 こうした認識を踏まえつつ、本市の学校教育や生涯学習・社会教育の充実などに向けて、「第六次深川市総合計画」をはじめ、「深川市学校教育振興計画」や「第10次深川市社会教育中期計画」などの個別計画に基づき、令和6年度における教育行政の推進に係る主要施策について申し上げます。

2.令和6年度の主要施策

学校教育の充実

 はじめに、学校教育の充実についてであります。

 確かな学力の育成については、これまでの各学校における「学校改善プラン」による取り組みのほか、教師主導型の学びから子どもが主体となる学びへ移行するためにICT端末やデジタルドリル等を効果的に活用し「個別最適な学び」と「協働的な学び」を更に進めた授業の改善を進めます。
 また、地域ボランティアの協力により実施している学習サポートプログラム事業のうち、小学生を対象としている「チャレンジ深川」については、中学生にもボランティアを呼び掛けることで、より一層、地域・学校・教育委員会が連携した継続的な事業となるよう取組んでまいります。

 読書活動については、子どもたちの読書習慣の定着を図るため、学校司書による授業での図書の活用や、児童生徒が図書に興味・関心を持つきっかけを創出するとともに、市立図書館と連携して朝読書や家読を推進することで、本市の課題であります「読書時間」の増加や「読む力」の向上に努めてまいります。

 悩みを抱える子どもや保護者への支援については、「スクールカウンセラー」と「スクールソーシャルワーカー」の配置や電話による相談窓口である「子どもと親の相談室」の設置により、子どもや保護者の多様化する悩みに寄り添い、心理面からのサポートや学校及び関係機関と連携した体制づくりなどにより、問題の解決に向け対応してまいります。
 また、何らかの要因により学校に行けない児童生徒に対しては、これまでも適応指導教室「しらかば教室」に専任指導員を配置し、子どもたちの社会的自立や学校復帰に向けた支援を行っていますが、施設を現在の総合福祉センターから健康福祉センター「デ・アイ」に移転、拡張するとともに、名称を教育支援センター「しらかば教室」に改め、より一層、受け入れ体制の充実を図ります。中学校においては当該生徒を対象にしたサテライト教室などを設置し、当該生徒への支援体制を整えてまいります。

 いじめは、どの学校においても生じうることを認識し、「深川市いじめ防止対策基本方針」及び各学校が定めた「いじめ防止対策方針」に基づき、未然防止・早期発見や積極的な認知に努め、さらに「北空知地域いじめ問題対策専門家会議」と連携して適切な対応に努めてまいります。
 また、いじめを未然に防止するために、お互いを思いやる豊かな心を育成するとともに、お互いを尊重し合い、よりよい人間関係を築ける集団づくりをすすめて参ります。

 子どもたちの健やかな体の育成については、生涯にわたって健康を保持増進できるよう、基礎的な運動能力を育むとともに、生活習慣の確立や学校保健の推進、スポーツに親しむ機会の創出に取り組んでまいります。
 また、部活動の地域移行については、本市を含めた北空知地域全体における検討を進めてまいります。

 学校給食においては、給食費の無償期間を4月から9月までの半年間に拡大するとともに、10 月以降においても、北空知圏学校給食組合が令和6年度から改定する給食費の増額相当分を市が負担することで、一食当たりの負担額をこれまでと同額に抑え、保護者負担を更に軽減します。

 子どもたちの安全・安心の確保については、防災教育や交通安全教育の充実を図るとともに、深川市通学路交通安全プログラムに基づき、関係機関による通学路の点検や交通安全対策を行うなど、社会全体で子どもの安全を守るため、家庭・地域の協力を得ながら、安全・安心な教育環境の整備を進めてまいります。
 また、学校・家庭・地域が緊密な連携を図り、未来を担う深川の子どもたちを地域全体で育てていくことが大切であることから、地域と一体となって子どもたちを育む「コミュニティ・スクール」の制度を活用して「地域とともにある学校づくり」に向けた取り組みを進めてまいります。

 学校間連携については、中学校区内の小学校間、また、小学校と中学校における交流や協働学習などを通じて、子どもたちの社会性を培い、小学校から中学校への円滑な接続にもつながるような取り組みを進めてまいります。

 特別支援教育については、障がいのある子どもも障がいのない子どもも共に学ぶインクルーシブ教育システムの理念を踏まえ、全ての学校において、子ども一人ひとりのニーズに応じた教育の場を提供し、自立や社会参加に向けた教育を進められるよう指導や支援を行ってまいります。

 小中学校の空調設備(エアコン)については、国の令和5年度補正予算による補助金の活用により、未整備となっている3校への整備を、計画より1年前倒しとなる、令和6年度中に実施し、市内全校への整備を完了します。

 教職員の働き方改革の推進については、令和7年度の本稼働を目指して、統合型校務支援システムを導入し、教職員の校務の効率化と情報共有を図ることで、子どもたちと接する時間を確保するとともに教職員の時間外在校等時間の削減に取り組んでまいります。

 市内公立高等学校への支援については、地域の未来を担う人材を育成している深川西高校と深川東高校は、本市にとってかけがえのない存在であることから、引き続き、それぞれの高校の魅力ある取り組みを支援するとともに、市が両校に行っている支援事業や高校の魅力について、市内と北空知管内の児童・生徒及び保護者等に向けた情報発信を行ってまいります。
 また、両校が市内の児童・生徒にとって身近に感じられるよう、市内小・中学校との連携事業等を継続して実施してまいります。 

生涯学習活動の推進と社会教育の充実

  次に、生涯学習活動の推進と社会教育の充実についてであります。

 生涯のいつでもどこでも自由に学び、その成果を生かすことができる生涯学習社会を実現するため、拓殖大学北海道短期大学の協力を得て実施する「市民公開講座」など、魅力ある事業を継続するなど、市民の自主的、主体的な学習活動のきっかけとなるべく、各種社会教育事業の開催・充実に引き続き取り組んでまいります。

 生涯学習機能を有する中央公民館の代替施設として整備をすすめている複合施設については、関係機関・団体などから意見を伺う機会を設けながら、具体的な整備内容などについて検討を進めてまいります。
 また、市民の多様な生涯学習活動実践の場となる各社会教育施設については、その在り方の検討を含め、適切な維持管理に取り組んでまいります。

 次代を担う青少年の健全育成については、子どもたちの成長に望ましい基本的生活習慣の意識づけを各家庭で取り組んでいただくための「早寝早起き朝ごはん運動」の推進など、家庭教育に対する支援のほか、異世代間や地域の人たちと交流する機会として、学校・家庭・地域が連携した「家庭教育・学社融合推進事業」や、地域の豊かな社会資源を活用した「土曜日の教育支援体制等構築事業」などを実施してまいります。
 また、「生き生きスポット」の開設など、放課後等における子どもたちの安全・安心な居場所づくりや、青少年指導委員による地域巡回指導、少年相談窓口の設置など、子どもの健やかな成長をサポートするための取り組みを引き続き推進してまいります。

 子どもたちの自主性やリーダーシップの醸成については、学校や地域の枠を越えた交流や活動の機会として、リーダー養成事業や、子どもたち自らが企画運営する事業など、学校・家庭・地域社会と連携し地域社会で実践できる場の提供に取り組んでまいります。 

文化・スポーツの振興

 次に、文化・スポーツの振興についてであります。

 各種文化活動については、優れた芸術に触れる機会の創出に向け「み・らい」や「生きがい文化センター」など、その活動の拠点となる施設の指定管理者とも連携し推進するとともに、市内の文化・芸術施設が、学校の授業や各種社会教育活動で活用されるよう、適切な管理と周知活動に取り組んでまいります。
 このうち、著名な芸術家を招聘して行う「アウトリーチ事業」は、生涯にわたる芸術文化活動への意欲を高める貴重な機会となることから、引き続き全ての小中学校において実施してまいります。

 文化財の保護維持管理については、令和4年度に整備した「国指定史跡 音江環状列石」のPRに努めるとともに、その他の有形・無形文化財の保存と活用についても、文化財保護委員と連携して取り組んでまいります。

 各種スポーツ事業については、誰もが気軽にスポーツや健康づくりに親しめるよう、スポーツ推進委員や関係機関 ・団体等と連携を図るとともに、企業版ふるさと納税などを活用した、特色あるスポーツイベントの実施に取り組んでまいります。

 市内にある各種スポーツ施設については、積極的な周知活動を行い、市民の健康増進と市外からの流入人口の増を図るとともに、計画的な改修・整備と、適切な管理に取り組んでまいります。

 市民の主体的なスポーツ・芸術文化活動の推進については、市民自らが優れた芸術文化事業や、各種スポーツ大会を招致・運営する際の支援を継続するほか、文化・スポーツの分野で全国大会等に出場する市民に対する支援を拡充してまいります。

 本市の重要施策の一つであるスポーツ・文化の各種合宿招致活動については、活力あるまちづくりに資するよう、引き続き積極的に取り組んでまいります。 

3.終わりに

  以上、令和6年度における教育行政の執行に関する方針について申し上げましたが、教育の振興に向けた取り組みを強化し、市民の皆様とともに創意工夫をするなかで、学校教育や社会教育などの一層の充実に向けて取り組んでまいりますので、議員各位の特段のご指導ご鞭撻と、市民のみなさんのご理解とご協力を心からお願い申し上げまして教育行政方針の説明とさせていただきます。

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