教育行政方針
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1.はじめに
令和5年第1回深川市議会定例会の開会にあたり、教育行政の執行に関する主な方針について申し上げます。
現代は先行きが不透明で、将来の予測が困難な時代として、その特徴である変動性・不確実性・複雑性・曖昧性の頭文字をとったVUCA(ブーカ)の時代と呼ばれ、社会で求められる能力が適宜変化する世の中になっております。
このような時代の中で、学校教育には「持続可能な社会の作り手」として多様な見方・考え方を大切にし、変化を前向きに受け止め、主体的に課題を見つけ、多様な人々と協働して解決できる子どもの育成が求められており、国は、その実現に向けてこれまでの日本型学校教育の良さを受け継ぎながら更に発展させ、働き方改革とICTを活用した新学習指導要領を着実に実施するために「令和の日本型学校教育」の実現を掲げています。
また、経済的な豊かさのみならず、精神的な豊かさや健康までも含めて幸福や生きがいをとらえる「ウェルビーイング」の考え方が重視されてきており、人生100年時代にあって、市民が心豊かで健やかな人生を送るため、必要な時に必要な学びを通じ成長し、心身の健康を保持しながら活躍できるよう、学校教育だけではなく生涯学習・社会教育を通じてウェルビーイングの向上を図っていくことが求められております。
こうした認識を踏まえつつ、ポストコロナの下での本市の学校教育と生涯を通した社会教育の推進に向けて、「第6次深川市総合計画」「深川市教育大綱」「深川市まち・ひと・しごと創生総合戦略」に基づき、令和5年度における教育行政の執行に臨む基本姿勢を申し上げます。
第一に、「学校教育の推進」についてであります。
これまでも、深川市学校教育振興計画に掲げる4つの基本目標である、
(1)確かな学力を育成し、社会での自立に必要な基礎を育む教育の推進
(2)豊かな心と健やかな体を育成する教育の推進
(3)家庭や地域に信頼される学校づくりの推進
(4)安心して学び、安全に過ごすことのできる機能的な教育環境の整備
について取り組みを行っており、引き続きこれらを着実に実行してまいります。
また、現行の「深川市学校教育振興計画」が、最終年度を迎えることから、令和6年度からの新たな計画を策定してまいります。
第二に、「生涯学習の推進」についてであります。
市民一人ひとりが充実した人生を送るため、生涯のいつでもどこでも、自由に学習の機会を選択して楽しく学び、その成果を生かすことができる生涯学習社会の実現が求められていることから、令和4年度に策定する「第10次社会教育中期計画」等に基づき、計画的かつ効果的な社会教育、文化・スポーツ事業に取り組んでまいります。
2.主要施策の推進
次に、教育行政の推進に係る主要施策について申し上げます。
学校教育の充実
はじめに、学校教育の充実についてであります。
確かな学力の育成については、学力を確実に定着できるよう、「全国学力・学習状況調査」等の分析により、教育委員会と学校が連携して作成する「学校改善プラン」に基づき、各学校において教育活動を実践するとともに、デジタルドリルの導入により、個別最適な学習環境の整備についても進めてまいります。
また、地域のボランティアの協力をいただきながら実施する「学習サポートプログラム事業」については、地域・学校・教育委員会が連携した取り組みを継続してまいります。
読書活動については、子どもたちの読書習慣の定着を図るため、学校司書を配置し、授業における図書の活用や、児童生徒が図書に興味・関心を持つきっかけをつくるとともに、市立図書館と連携して朝読書や家読を推進することで、本市の課題であります「読書時間」の増加や「読む力」の向上に努めてまいります。
英語教育については、英語で日常的なコミュニケーションを行うことができる力を身に付けられるよう、小学校の3年生及び4年生の「外国語活動」、5年生及び6年生の「外国語科」に2人の外国人英語指導助手を配置するとともに、外国語指導の加配教諭の活用を図ります。また、中学校においても、1人の外国人英語指導助手を配置することで、英語教育を推進してまいります。
キャリア教育については、社会的・職業的自立に向け、自己肯定感を高め、社会の中で自分の役割を見いだせるようキャリアパスポートを活用して推進してまいります。
悩みを抱える子どもや保護者への支援については、「スクールカウンセラー」と「スクールソーシャルワーカー」の配置や電話による相談窓口である「子どもと親の相談室」の設置により、多様化する子どもやその保護者の悩みに寄り添い、心理面からのサポートや学校及び関係機関と連携した体制づくりなどにより、問題の解決に向け対応してまいります。
また、様々な原因で学校に行けない児童生徒に対しては、適応指導教室「しらかば」に専任指導員を配置し、子どもたちの基礎学力の補てんや基本的生活習慣の改善に向け、学校と連携を図りながら、社会的に自立していける力の育成及び学校復帰に向けた支援を行うとともに、中学校においては当該生徒を対象にしたサテライト教室などを設置し、当該生徒への支援体制を整えてまいります。
いじめは、どの学校においても生じうることを認識し、「深川市いじめ防止対策基本方針」及び各学校が定めた「いじめ防止対策方針」に基づき、未然防止・早期発見に努め、さらに「北空知地域いじめ問題対策専門家会議」と連携して適切な対応に努めてまいります。
また、いじめを未然に防止するために、お互いを思いやる豊かな心を育成するとともに、お互いを尊重し合い、よりよい人間関係を築ける集団づくりをすすめて参ります。
健やかな体の育成については、社会を生き抜く力の土台となる人間の活動の根源でありますので、「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」の結果を踏まえ、各学校の実態に即した体力向上や運動に親しむ機会の拡充に取り組んでまいります。
また、学校保健においては、子どもたちの健やかな成長はもとより、将来においても健康な人生を送るための望ましい知識・習慣を身につける保健教育の推進に取り組みます。
学校給食においては、給食費の段階的な無償化を進めることとし、令和5年度は全児童生徒を対象に年額の約3分の1となる、4月から7月までの期間を無償とし、保護者の負担軽減を図ってまいります。
また、栄養教諭を中心に北空知圏学校給食組合と連携し、地元農産物を使用することで、地元の農業への理解を深め、食に関する正しい知識と望ましい食習慣を身につけるなどの「食育」を推進してまいります。
子どもたちの安全・安心の確保については、防災教育や交通安全教育の充実を図るとともに、深川市通学路交通安全プログラムに基づき、関係機関による通学路の点検や交通安全対策を行うなど、社会全体で子どもの安全を守るため、家庭・地域の協力を得ながら、安全・安心な教育環境の整備を進めてまいります。
また、学校・家庭・地域が緊密な連携を図り、未来を担う深川の子どもたちを地域全体で育てていくことが大切であることから、地域と一体となって子どもたちを育む「コミュニティ・スクール」の制度を活用して「地域とともにある学校づくり」に向けた取り組みを進めてまいります。
教職員の指導力の向上については、多様化かつ複雑化する諸課題へ対応するため、専門性と実践力を備えた教職員の育成が必要であり、学び続ける情熱と向上心に満ちた教員が求められていることから、教育推進校による授業改善の研究とその成果の市内での展開、教職員の研修機会の充実などに取り組んでまいります。
学校間連携については、中学校区内の小学校間、また、小学校と中学校における交流や共同学習などを通じて、子どもたちの社会性を培い、小学校から中学校への円滑な接続にもつながるような取り組みを進めてまいります。
特別支援教育については、障がいのある子どもも障がいのない子どもも共に学ぶインクルーシブ教育システムの理念を踏まえ、全ての学校において、子ども一人ひとりのニーズに応じた教育の場を提供し、自立や社会参加に向けた教育を進められるよう指導や支援を行ってまいります。
また、深川小学校と深川中学校に開設している通級指導教室については、ことばや発達などに課題を抱える児童・生徒が、自身の持つ能力を十分に発揮できるよう支援を行ってまいります。
学校の施設整備については、熱中症対策及び換気対策として、空調設備(エアコン)を4年計画の2年次目として、深川小学校及び北新小学校の普通教室、保健室及び職員室に設置します。
また、ICTを活用した学習環境の整備として、小学校における電子黒板を順次整備するとともに、全校で使用できる授業支援システムの導入を図り、ICTの活用を更に進めてまいります。
市内公立高等学校への支援については、地域の未来を担う人材を育成している深川西高校と深川東高校は、本市にとってかけがえのない存在であることから、引き続き、それぞれの高校の魅力ある取り組みを支援するとともに、市が両校に行っている支援事業や高校の魅力について、市内と北空知管内の児童・生徒及び保護者等に向けた情報発信を行ってまいります。
また、両校が市内の児童・生徒にとって身近に感じられるよう、市内小・中学校との連携事業等を継続して実施してまいります。
社会教育の充実
次に、社会教育の充実についてであります。
市民の自主的・主体的な学習活動の促進については、拓殖大学北海道短期大学の協力を得て実施している「市民公開講座」など、魅力ある事業を継続して実施してまいります。
また、市民の多様な学習活動実践の場となる各社会教育施設については、適切な維持管理に取り組んでまいります。
複合施設として整備することとなった中央公民館については、関係機関・団体などから意見を伺う機会を設けながら、具体的な整備内容などについて検討を進めてまいります。
次代を担う青少年の健全育成については、家庭教育の充実と異世代間や地域の人たちと交流する機会が必要なことから、学校・家庭・地域が連携した「家庭教育・学社融合推進事業」や、地域の豊かな社会資源を活用した「土曜日の教育支援体制等構築事業」などを実施してまいります。
また、「生き生きスポット」の開設など、放課後等における子どもたちの安全・安心な居場所づくりや、青少年指導委員による地域巡回指導、少年相談窓口の設置など、子どもの健やかな成長をサポートするための取り組みを引き続き推進してまいります。
さらに、基本的生活習慣の乱れが、子どもたちの健やかな成長を阻害する要因の一つとされていることから、規則正しい生活が送れるよう「早寝早起き朝ごはん運動」や「ノーゲームデー」の取り組みを推進してまいります。
子どもたちの自主性やリーダーシップの醸成については、学校や地域の枠を越えた交流や活動の機会として、リーダー養成事業や、子どもたち自らが企画運営する事業など、学校・家庭・地域社会と連携し地域社会で実践できる場の提供に取り組んでまいります。
文化・スポーツの振興
次に、文化・スポーツの振興についてであります。
芸術文化活動については、優れた芸術に触れる機会の創出に向け「み・らい」や「生きがい文化センター」など、その活動の拠点となる施設の指定管理者とも連携し推進するとともに、市内の各種文化・芸術施設が、学校の授業や各種社会教育活動で活用されるよう、適切な管理と周知活動に取り組んでまいります。
このうち、著名な芸術家を招聘して行う「アウトリーチ事業」は、芸術文化活動への関心を高める貴重な機会となることから、引き続き全ての小中学校において実施してまいります。
また、世界的な書家である小川東洲氏の一周忌に合わせて、「アートホール東洲館」において「小川東洲回顧展」を開催してまいります。
文化財の保護維持管理については、令和4年度に整備した「国指定史跡 音江環状列石」のPR活動や、指定有形文化財である「芽生神社」、「旧鷲田農場事務所」の案内看板修繕等を実施するとともに、他の有形・無形文化財の保存と活用についても、文化財保護委員と連携して取り組んでまいります。
また、創設から120周年の節目を迎えた「猩々獅子五段くずし舞」記念事業開催に対する助成を行い、指定無形文化財の保存継承のための支援に取り組んでまいります。
各種スポーツ事業については、誰もが気軽にスポーツや健康づくりに親しめるよう、スポーツ推進委員や各関係機関・団体等と連携を図るとともに、企業版ふるさと納税などを活用した、特徴あるスポーツイベントの実施に取り組んでまいります。
市内にある各種スポーツ施設については、積極的な周知活動を行い、市民の健康増進と市外からの流入人口の増を図るとともに、計画的な改修・整備と、適切な管理に取り組んでまいります。
市民の主体的なスポーツ・芸術文化活動の推進については、市民自らが優れた芸術文化事業や、各種スポーツ大会を招致・運営したり、文化・スポーツの分野で全国・全道大会に出場する市民に対する支援を引き続き実施してまいります。
本市の重要施策の一つであるスポーツ・文化の各種合宿招致活動については、活力あるまちづくりに資するよう、引き続き積極的に取り組んでまいります。
3.終わりに
以上、令和5年度の教育行政の執行に関する主要な方針について申し上げましたが、教育の振興に向けた取り組みを強化し、市民の皆様とともに創意工夫をするなかで、学校教育、社会教育全体の一層の充実に向けて取り組んでまいりますので、議員各位の特段のご指導ご鞭撻と、市民のみなさんのご理解とご協力を心からお願い申し上げまして教育行政方針の説明とさせていただきます。
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